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執筆者の写真若王子倶楽部 左右

『「珍品」好みの審査員として』 煎茶家・一茶庵宗家嫡承 佃 梓央

「何これ⁉」とニタッとしながら受賞作品すべてをテーブルの上に並べて見ていました。今回も、イイ意味での「珍品」を選ばせていただくこの公募展のカラーがはっきりと出たように思います。

 私が審査の時に意識していることは二点です。

 古い工芸品や美術品と並べたときに、負けずに主張してくる力があり、それが古い工芸品と和音であれ不協和音であれ何かを奏でてくれるかどうか。

 もうひとつは、映像や音楽、言葉、空間、もちろん造形物も含め、現在の芸術家や非芸術家が制作する様々なメディアとともにご応募作品を用いてみることを想像したとき、何か魅力的な感覚を与えてくれるかどうか。

 今回ご応募いただいた作品は、後者に叶う作品が多かった印象を受けています。

 「ティー」すなわち「茶」という言葉を冠にしている公募展ですからともするとそこに応募していただく作品は、前者を狙っているのに力のない痩せ衰えた作品であったり、既存の作品の、生命力を失わせてしまっただけのコピーであったり、約束事にがんじがらめの自由のない作品であったりしてしまうものです。

 しかし今回ご応募いただいた作品の多くにそうではない魅力がありました。

 古いモノ(茶道具に限らず)や現代の様々なメディアと同時同場に存在させたとき、和音でも不協和音でもとんでもない何かを奏でてくださる珍品にこれからも出会いたいと願っています。

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