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執筆者の写真若王子倶楽部 左右

『「おいしい」を開拓する道具』 茶人・会社員 中山福太朗

一次審査をzoomでのオンライン形式に変えたこともあってか、前回よりも応募点数こそ少なくなったものの、完成度の高い作品のご応募を頂いたと思います。

第一回は、30cm立法に収まる茶の時間を楽しむ道具、という無差別級の作品応募要項はどう働くのか未知数でしたが、第二回である今回は、茶室の応募なども あり、このルールは非常に面白く働きました。


茶の湯って何をするもの?と問われたら、それは『おいしいお茶を差し上げるも の』という答えに異論はないと思います。ただ、その『おいしい』に至るルートは様々存在して、このルートを通るとおいしくなるよ、という経路を長く研究、 開拓してきたものが、各流儀の作法や道具の形です。茶の道具は、おいしいを作るための一要素です。

時代時代で、その時の人々の『おいしい』を開拓するような道具たちが増えること、それは時代の豊かさと言っていいのだと思います。

例えば茶道の中で良しとされる道具は、勉強する上では非常に大切です。茶の道具が作られ始めてから、人間の姿形はほとんど変わっていないので、体への効果という部分では、伝統文化に圧倒的な智慧の集積があります。

しかし、彼らの「いい」は私の「いい」とは無関係です。そして、どちらに価値があるかといえば、今あなたがいいと思うことに圧倒的な価値があります。


私は今、生きている私たちがおいしいための道具を見てみたいし、使っていきた いと思っています。そんな道具を作る方たちと出会えたら、それは本当に幸せなことです。 今回も力のある作品と出会えて嬉しかったです。ご応募頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

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