ティー・エレメント公募展の審査は、今回も、「言葉」と「制作物」と、両方合わせて1つの「作品」と考えて審査しています。
私自身、今回の審査で何よりも驚愕したのは、みなさまの「言葉」が、昨年に比べて見違えるほどに「上手く」なっていることでした。これは皆様方の勉強の賜物かと存じます。
今、工芸に限らず、広くアートの世界で活躍するアーティストには「制作物を言葉とともに提示すること」が求められており、そのことを切に感じながらお書きになった言葉が本当によく伝わって参りました。
しかし、今回の公募展で次回への課題として浮かび上がってきたのも「言葉」に関わることでした。「制作物」そのものに対して「言葉」が嘘をついているのではないか、「制作物」と「言葉」とが乖離しはじめ「言葉」が先走りしているのではないか、と。例えば「侘び(わび)」という言葉、表層的なWikipedia的知識でいくらでも使えてしまいます。「言葉」が本当にその「制作物」から沸々と湧き上がって来て紡ぎだされているのか、今一度、「制作物」と「言葉」との関係を見直し、もう一度言葉を綴っていただきたいと思います。
私は「煎茶」の「茶席」を設える人間です。私の仕事は「作品」として出来上がった「モノ」と「ストーリー」とを再度分解し、改めて「モノ」と対話し、茶席で取り合わせる別のモノ(道具)との関係を繋ぎ、総合体としての「モノガタリ」へと編集し直していきます。作品制作をされる皆様と、編集作業をする私と、切磋琢磨していきたいですね、どうぞ宜しくお願い致します。
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