top of page
検索
  • 執筆者の写真若王子倶楽部 左右

第2回 公募展講評|中山 福太朗(茶人)



『1次審査を終えて』    

中山 福太朗 (茶人)


初めてのことで、主催側の私たちも、応募して下さった皆様も、手探りの状態での

審査だったと思います。

そもそも、応募作品がなくても審査に応募でき、それで判断されるというのは不思議な

審査だよな、と私も思います。つまり今回の1次審査は、審査というより、私たちとの

コミュニケーションという側面が強くありました。


審査員の3名はそれぞれ専門が違うし、性格や考え方も相当異なるため、審査内でのコメントが真逆ということもありました。なので私たちの言うことなど、聞いても聞かなくてもいいのです。

私たちは慣れ合ったり、事前の意思統一などしていません。

私たちは、同志を求めています。それは、縁故や子弟関係を頼った旧態然とした関係ではなく、上下の関係でもなく、ただ役割が違うだけで、何でも意見を言い合える、ワクワクする中からよいものができるような、そんな関係の友人です。


個人的に見てみたいものは、思考停止した型の反復でも、安易な自己表現でもなく、型が何物かを分かった上でその人自身はくっきりと明確で、かつきちんと「今」であるものです。

大きさはもう少し小さい方がよい。 型に捉われるな、もっと自由になっていい。

このふたつは、その前提で同じことを言っています。私が見てみたいものです。両方がそのまま両方正解です。そして、提案されなかった他の選択肢も正解でしょう。


誰に何と言われようと、強く信じて深くにあるもの。誰に批判されても、尚美しいもの。

それを見せてください。2次審査で実際に作品を拝見できること、楽しみにしています。



Profile

聖徳庵Jack Convery宗好氏に師事。裏千家茶道を学ぶ。

自身の茶の活動として2009年「茶の湯集団 鴨ん会」を結成、13年に「陶々舎」立ち上げに参加。先人たちのこころや形、感覚を受け継ぎながら、今に接続する茶の湯のあり方を具現化する茶人である。


最新記事

すべて表示

『「珍品」好みの審査員として』 煎茶家・一茶庵宗家嫡承 佃 梓央

「何これ⁉」とニタッとしながら受賞作品すべてをテーブルの上に並べて見ていました。今回も、イイ意味での「珍品」を選ばせていただくこの公募展のカラーがはっきりと出たように思います。 私が審査の時に意識していることは二点です。 古い工芸品や美術品と並べたときに、負けずに主張してくる力があり、それが古い工芸品と和音であれ不協和音であれ何かを奏でてくれるかどうか。 もうひとつは、映像や音楽、言葉、空間、もち

『狭さと深さ』 茶人・会社員 中山福太朗

多くの作品のご応募、ありがとうございました。 なぜ「ありがとうございました」なのかと言えば、この公募展は、私たちの仲間を探しているようなものだからです。 そこに参加して下さったことがうれしい、という思いからの言葉です。 勿論、応募してくださった方にそのようなつもりはないでしょうが、私はやはり、仲間を見つける目で作品を拝見しています。 そういう意味で、この公募展は優劣を決めるためのものではありません

『受賞作品の共通点 ―現代社会がクリエイターに求めていること―』 京都女子大学 前﨑信也

新型コロナウィルスが世界を席巻して2年が経ちました。その間に文化をとりまく環境も大きな変化を見せています。カタチを持たないデジタルアートが驚くような価格で取引されるようになったことと時を同じくして、お茶やお花といった、人に会うことが前提の文化にまつわる道具への需要は減退しています。 こんな悩ましい世界に、新しいお茶の道具を提案するこの公募展。第1回で残念だったことは、応募作品の多くが「使い古された

bottom of page